さて、皆さんは、夫婦で一緒にお墓に入りたいと思いますか?
ある川柳に『冷えた中 何分チンすりゃ 戻れるの?』とあります。
夫婦仲の悪い方もおり、「あの人とは一緒にお墓に入りたくない」と言われる方もおられるのです。
先日、私が僧服でタクシーに乗った時、運転手さんから相談を受けました。
それは、その人のお父さんが亡くなられた時、両親の仲が悪かったので、お母さんが葬式にも出ず、「一緒に納骨しないで」と言われたそうです。このような時にどうすればよいかとの相談でした。
私は、その方のお母さんが、愚痴の心によって正しい判断ができないのではないかと思い、「たとえお墓が別々でも、お念仏を申されている方ならば、『倶会一処』といって亡くなってから極楽で必ず再び会うことになるのです。そして亡くなった方は、この世での性格のままでなく、極楽で修行して優しい方になっておられます。そのことを、お母さんにお伝えください」とお話ししました。
もちろん、このお母さんの心は、すぐに開かないと思います。しかし、いつかは必ず、お念仏のご縁によって分かっていただけると思うのです。
『渋柿が 甘柿となる 寒さかな』との句は、渋柿が自然の恵みによって、知らない間に甘柿に変わっていくことを表していますが、私たちも最初は人から嫌われる渋柿だったかもしれません。それでも、お念仏を申すことによって、阿弥陀さまのお力やお導きにより、悪い心はおさえられ、優しく、素晴らしく、好かれる人にならせていただくことができるのです。
そして、『愛し妻 離れたくない 墓場まで』との句がありますように、この世も後の世も仲の良いご夫婦でいられることは間違いありません。
私たちが、それぞれの故郷に帰るような気持ちで、極楽に、お墓に帰らせていただくんだと受けとめていただき、お念仏をしっかり申していただきたいと存じます。